SilverStone SST-CS381B という PC ケースを買った(正確には、1 年前に買った後放置していた...)。このケースは、MicroATX にもかかわらず、ひたすらストレージを積めるということが特徴で、ホットスワップ可能な 3.5/2.5 インチベイ 8 つに加え、内部に 2.5 インチベイを 4 つ搭載しており、最大で 12 台の HDD/SSD を積むことができる。ユニークなのはホットスワップベイで、8 台が 4 台ずつまとめられて 2 本の SAS (SFF-8643 Mini-SAS)で接続するようになっている。本記事では、このケースについてレビューする。
経緯
録画用にサーバーを構築していることもあって、以前の記事で書いたように大量のハードディスクを接続していた。


後者の 4TB x 8 は、USB接続の HDD ケースに入れて使っていたが、基本的には安定していたものの、まれに HDD が勝手に切断されることがあった。 USBの限界:HDDを多く接続できない | BtoPlus JP という記事を見つけ、なるほど SAS ...と思っていた矢先にこのケースを見つけた次第だ。加えて既存の 4 台を 3.5 インチ HDD から 2.5 インチ HDD に移行してしまえば、全てのディスクをこのケース内に収納することができて嬉しいはずだ。
ということで、サーバーを CS381 に移してみた。
材料
新規に調達したものは以下の通り。運良く既存のサーバーも MicroATX だったので、他のパーツは流用した。
- ケース: SilverStone SST-CS381B
- 電源: SilverStone SST-SX650-G
- 電源ケーブル: SilverStone PSUケーブルセット SST-PP05-E
- SAS ホストバスアダプタ (HBA): LSIロジック LSI00194
- Mini SASケーブル: CableDeconn 内部 Mini SAS HD SFF-8643 to Mini SAS SFF-8087 ケーブル 1M x2
- 2.5インチHDD: SEAGATE ST4000LM024 (4TB) x4
- SSD: SanDisk Ultra II 480GB
CS381 は SFX 電源でなければ積めないので、電源は買い換える必要があった。ケース内はすっきりさせたかったので、ケーブルが着脱可能な物がいいな...と探したところ、ちょうど SilverStone の電源とケーブルが見つかった。多少特殊なケースではあるが、メーカーが同じなら変に干渉したり長さが足りないということもないだろう...という祈りも込めて合わせて買うことにした。
SAS でディスクを接続することになるので、SAS HBA を増設する必要がある。SAS を使うのは初めてなのでなんも分からん!と思いながら、信頼できそうな LSI ロジック製で、8ポート搭載していてお手軽な価格のものにした。Amazon にはもっと安いノーブランドの HBA も転がっていたが、地雷原を突き進むには歳をとり過ぎた。
上で書いたように、シャドウベイは 2.5 インチのみであるため、既存の 3.5 インチ HDD のうち 4 台は 2.5 インチ HDDに移さないといけない。3TB x 4 を移行し、せっかくなので容量も増やし 4TB にした。それにしても 2.5 インチ HDD はほとんど選択肢が無い上に高い。4GB だと、実質
SEAGATE ST4000LM024 と WESTERN DIGITAL WD40NPZZ の二択だ。SEAGATE 製のほうが安かったのでケチって全部これにした。RAID で使う HDD を同じ物で揃えるのは怖いのだが、気休めに祈りながらそれぞれ別の店で買った。
ところで、ストレージ用のディスク 12 台については良いのだが、システム用にもう 1台 必要であるのを完全に忘れていた。SSD なら適当にその辺に貼り付けておけば良いだろうとの甘い考え(結果的に正解)で、以前ラクマで新品が安く売られていたのを見て、特に目的も無く買った SSD が転がっていたのでこれを使った。
作業
粛々と作業した。もっと作業中の写真を撮っておけばよかった...と今後悔している。基本的には以下の手順で組み立てる。
- 上面のパネルとサイドパネルを取り外し、ホットスワップベイを取り外す。
- 側面から電源とマザーボードを入れ、拡張カードを取り付ける。
- ホットスワップベイを戻し、ベイのバックプレートに配線をする。
ここまでの状態が以下の写真だ(ホットスワップベイを1台戻している途中)。ベイを固定するための上部にある棒状の2本の金具は取り外せないため、両方のサイドパネルも外さないとマザーボードや電源を取り付けられないのは少しめんどくさい。さらに拡張カードを入れるのや、配線を行うのもこの金具が邪魔でやりにくいのがつらい。
ベイのバックプレーンには 電源入力用の 6ピン端子と Mini SAS ポート (SFF-8643)、それに加えてケースファンへの電源出力がある。
バックプレーン。上から順にケースファンへの電源出力、6 ピン電源入力、SFF-8643 ポートがある。(写真は SilverStone のサイトより引用)
- 2.5 インチシャドウベイにハードディスクを取り付ける。
- 上面パネル・側面パネルを戻す。
公式の写真から、ホットスワップベイの上部に 2.5 インチ HDD が 2個取りつけられることは分かっていたが、しかし残りの 2 つはどこに...。と少し不安だったが、以下のように本体側面に取りつけるこになる。HDD の片側しか固定できないので少し怖い。写真だと見づらいが、側面に取りつけた HDD の下段にもう一つ取りつけられている。マザーボードに背が高い拡張カードを取りつけた場合、下段には干渉して取りつけられないかもしれない。この 2 つのベイはおまけと考えた方が良いだろう。ちなみに、HDD の代わりにファンを追加することもできるらしい。
写真を見て分かるように、SSD は無理矢理取りつけられた。上面の金具と、上面パネルの間の隙間がちょうど SSD が収まる高さだったのでありがたい。配線に苦労しそうだが、がんばればあと1、2台ぐらいは入れられそうだ。やらないけど。
- ホットスワップベイに 3.5 インチ HDD を格納する。
- 脚をつける。このケースは縦置きも横置きもできて、接地させたい面ところに付属の脚をつける...のだけど脚を無くしたw 仕方ないのでそのまま置く。
ということで完成した。これ一台に 48TB が収まっていると思うとエモい気持ちになってくる。
はじめてで不安だった SAS 接続のディスクも普通に認識し、安定して動いているようで良かった。ホットスワップも試してみたが、問題なく動いている。
感想
普通の PC ケースとほとんど変わらないサイズに、12 台もディスクを格納できるのは良い。HDD を SAS 接続するような PC ケースは他に見たことが無く驚いたが、ケーブル 2 本で接続できるため内部の配線が少なくなるのはメリットかもしれない。また、この配線を活かして、ストレージを増設したい際に単に Mini SAS 接続 HDD エンクロージャーとして使うのも良いかもしれない。ブラケット穴から Mini SAS ケーブルを出し、外部 SAS ポートがついている HBA を PC 側に増設すれば使えそうだ。電源はピンをショートさせて常時電源オンにするような器具があるので、これを使って入れっぱなしにすればよい。
ちなみに SAS HBA を増設したくない場合は SAS ファンアウトケーブルというものがあって、これを使うと SAS ケーブルから SATA の端子をはやすことができるので、これを使うのも良いかもしれない。
これだけ多くのストレージを詰めるという点で他に比較する製品もほとんどなく、僕の需要にはぴったりだったのだが、ケース自体の作りについては少し不満もある。具体的には、
- これは本文中にも書いたが、2本の取り外せない棒状の金具のせいで作業がしづらいこと。
- ひたすらネジ留めが多いこと。側面のパネルやHDD トレイなど、もう少しドライバー無しで作業できる部分が多いと嬉しかった。
- プラスチック部分の作りがチープなこと。HDD トレイとか、前面のパネルが、写真からは分からないが結構チープだ。
かなりニッチな製品だし、価格と品質のバランスを取るのが難しいのだろうとは思うが、品質面がもう少し高ければ嬉しかった。とはいえ、一度組んだ後に使う分には問題も無いので満足している。長く使っていきたい。
SilverStone (2019-07-25T00:00:01Z)
¥44,214
Silver Stone (2017-08-25T00:00:01Z)

¥11,790 (中古品)
SilverStone (2018-05-24T00:00:01Z)

¥3,640
LSIロジック (2010-02-01T00:00:01Z)

¥10,800