2018年の年末に、Argon Prototypes というところが Kickstarter で出資を募っていた Enix というプロジェクトに出資していたのだが、1年半の時を経てついに商品が手元に届いたので開封の記録をする。
Enix は、ニキシー管を使った卓上時計だ。ニキシー管というのは、1950 年から 1960 年ごろにかけて多く利用された、主に数字を表示するための陰極管だ [1]。平たくいえば Steins;Gate のアレだ。
ということで早速開封。なお、Silver Satin と Black Anodized の 2 色があり、僕が頼んだのは Black Anodized だ。
Argon PROTOTYPES とだけ書かれた黒の化粧箱がかっこいい。(写真撮る前に箱の埃落とせば良かった。)
箱をあけたらマニュアルとステッカーが入っていた。かわいい。
それらを脇に寄せ、ついに Enix 本体が。黒の梱包材にニキシー管が映える。
Enix 近影。台座も思った以上に高級感がある。アルマイト加工された黒が美しい。ずっしりとした重さも良い。
通電してみる。レトロでぼんやりとした光がかっこよくて無限に見ていられる。真ん中にあるのは秒が進むごとに点滅するLED。
夜だとより雰囲気が出る。良い。
ちなみに裏はこんな感じ。マニュアル曰く、「ソ連 (USSR) 時代の IN-14 真空管」("USSR era IN-14" [2])。
裏のボタンで色々カスタマイズができて、12/24時間表示とか、台座とニキシー管の間の LED の色や明るさ(僕は消したので上の写真では見えない)とか、秒を表す LED の ON/OFF みたいなことが変更できる。表示内容(日付・時間・温度(実は温度計が入っている!)の中からどれをローテーションで表示するか)も設定できる。設定内容とその動画はマニュアルで見ることができる。表示が変わる際にはニキシー管の表示がぐちゃぐちゃっと変わる演出が入っていてこれまたかっこいい。
ニキシー管時計はいろいろなところが作っているが、Enix の特徴は Arduino 互換で PC でソフトウェアを書き換えることができることだ。今のところ方法が公開されていないのだが、しばらくしたら公開するとのコメントが出ているので楽しみにしたい。といっても、何を表示させたら良いか、良いアイデアも思いつかないのだが...。
また、底面にリチウム電池が入っていて、電源を抜いてニキシー管を消えても、時刻や設定が保持されるのも地味に嬉しいポイントだ。普段は棚にしまっておいて、見たいときだけ通電する使い方でも問題ない。なお給電は USB mini-B で、このご時世に mini-B か...と思わなくもないが、細かいところだろう。
送料込みで 419 カナダドル(33,000 円程度)と安くはないのだが、それに見合った満足感がある製品だった。何より、兄弟でやっている小さな会社で、しかも最初の製品という状況にもかかわらず完成までこぎつけられていることがめでたい。Kickstarter 上では 63 人しか投資した人がいないので、世界に 100 個もない製品だろう。そのうちの一つを所有できたという喜びもある。
以前、まだクラウドファンディングの言葉がない頃に 300 ドルぐらい投資?した同人ゲーム機は会社が破産して終了したし、他にもお金入れたものの本当に物が完成するのか怪しい感じになっているプロジェクトがいくつかあるのを思い出した。ハードウェアスタートアップは厳しそうだ。
...よく分からない記事の終わりになってしまったが、Enix はかっこよくて良い。現在会社の HP を見ても販売はされていないようだが、もし将来的に追加販売がされることになったら、買って後悔はしないだろう。